2003年9月25日,エドワード・サイードは白血病に倒れ,67年に渡る波瀾万丈の生涯は幕を閉じた。サイードは学問的な名声だけに満足することなく,生まれ故郷であるパレスチナが抱える問題にも積極的に関わり,最期までパレスチナとイスラエルとの和平,共存の道を模索し続けた。
サイードの墓地があるレバノンの風景から映画は始まり,カメラは彼の足跡を辿ってパレスチナ,アメリカへと飛ぶ。生涯さまよい続けた知の巨人の記憶と遺志がここに蘇る。2005年シグロ作品,2時間17分。英語、アラビア語(日本語字幕付き)。 http://www.cine.co.jp/said/を参照 。
1935年,英国委任統治下のエルサレム生まれのパレスチナ人思想家,文芸評論家。カイロで学んだ後,渡米し,プリンストン大,ハーバード大で学位を取得。コロンビア大英文学教授。西洋近代の知が言説を通じて非-西洋世界を収奪と支配した点を問題視したオリエンタリズム論で知られる,20世紀を代表する思想家の一人。主著は『オリエンタリズム』(1978年),『文化と帝国主義』(1993年)。2003年病没。