かつての日本は「等質社会」「均質社会」としてのイメージが強かったが、今ではさまざまな国籍、民族、文化をもつ人々が生活をともにする状況になっている。本大学で学んでいる200名を越える留学生のみなさんは、はたして日本人学生たちと友情を育むことができているのであろうか?異文化間友情を築いていくためには一体何が必要なのだろう?異文化間の友人関係におけるコンフリクトの実態・現実はどのようなものか?本大学における今後の課題とは?ここにはことばのみならず、生活習慣や価値観のちがいといった文化的要因が複雑に絡み合っているにちがいない。本学の学生6人の白熱した本音トークにどうぞご参加ください!
シリーズ第2回にあたる今回は、本大学で学ぶ200名を越える留学生自身を事例として、日本人学生たちとの間にどのように友好関係を築いているのか、そのためには何が必要で、どのようなトラブルや葛藤を経験してきたのかを紹介・論議してもらった。
パネリストとなった5人の学生たちは、外国語・外国文化に興味をもっているばかりでなく、趣味・アルバイト・将来の職業に向けた準備などにおいても、茶道・演奏活動・海外ボランティア・児童教育など多彩な活動に携わってきた。こうした体験を通じて日々出会う人々との交流がすべてある種の「異文化体験」であり、自身の視座を広げるとともに多様な出自・意見をもつ他者と共生してゆく術を学ぶ貴重な機会であることを認識していることが何より重要である。これを基盤として、他者を理解し尊重しようと努力する姿勢が生まれ、摩擦が生じた際にも一歩下がって冷静に分析し、時には楽しむことさえできるようになってゆくという。
また、性別や個人的な見解の違いによる摩擦が、ともすると国籍や文化の違いによる摩擦にすり替えられがちになるという現実や、海外の留学生同士の交流のように異なる言語話者たちが第三国で共同生活を営む難しさについても指摘があった。こうした場面でどのように対処したのかを各自の経験に基づいて語り、意見交換・批判的検討を経ることが、「国際交流」といった聞こえはよいが曖昧な言葉だけではすまなくなった現代社会の半恒久的多文化共生に正面から取り組み、実践してゆくことなのである。