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佐野会長:日本の文化を知っている人こそ、海外の文化を説明できると思っています。対比ですよね。イギリスの素晴らしいところと、日本の素晴らしいところ。ここは似ている。ここは違う。そういう話ができないとダメですよ。一方的に、海外の文化はすごいばかりじゃダメです。
川田さんは武士なんですよ。武士の尊厳を持っているから、海外のよさも分かるし、イギリスはここが素晴らしいと言える。「アメリカはこんなにすごい、日本はダメだ」って言う人がいる。外国は素晴らしくて、日本はダメだという考え。ブリティッシュヒルズには、そういった偏った考えの人は必要ない。
川田館長:日本人の価値観が変化したんです。日本の教育が本当におかしくなったのは、終戦直後でした。神話と歴史の本、つまりに修身の本に、すべて墨を塗らされた。天照大神(あまてらすおおみかみ)なんて真っ黒になって読めやしない。GHQ(※2)が日本の神話と歴史を黒く塗りつぶした。
佐野会長:覚えていますよ。終戦直後、僕は小学校5年生でしたからね。
川田館長:うちの母が、その教科書を見て、「これで日本もアメリカに支配されている南太平洋の島々と同じになってしまう」と嘆いていたのを覚えています。アメリカは、自分たちの言うこと聞いてりゃ間違いないって言う考えです。吉田茂は抵抗した。あの人は、英国で大使を務めていた人だから。
佐野会長:僕は中学生のときに、中国の歴史にはまった。日大三中のときの漢文の先生が中国の歴史をたくさん話してくれて、日本のことも理解できるようになった。貸本屋で、吉川英治の『三国志』を夢中になって読んだね。
川田館長:まずは西洋よりも自分たちの国や言葉、アジアの文化と歴史に理解を深める。三菱商事にいた頃、若い連中に「川田さん、どうしたら英語がしゃべれるようになりますか?」って聞かれて、「まずは、その日本語を直しなさい」と厳しく指導して、ずいぶんと嫌われましたね(笑)。でも、自分の生まれた国の歴史も神話も知らずに、いきなりイギリスの歴史だ、ギリシャ神話だと言っても、そんなの根無し草でしかないですよ。(3/4)