異文化理解の先駆者たち

第5回 クリフォード・クラーク『日本人とアメリカ人、その懸け橋として』

自分と他者の「違い」こそが、
あなたをよりよい人間に導いてくれる

私は今日まで、5つの姿勢を大切にしてきました。佐野学園の教育機関で異文化コミュニケーションを学んでいる方々と、それを共有できればと思います。

まず、決してあきらめないでください。きっとたくさんの障害が現れ、足を引っ張られることもあるでしょう。10歳のとき、日本の少年たち15人に囲まれ、石を投げつけられました。彼らは「ヤンキー、ゴーホーム! ヤンキー、ゴーホーム!」と叫び続けました。33歳のときには、父が日本人の学生に19回にわたって刺されました。少年には明らかに殺意がありました。こういった体験から、私が日本を憎むのも当然ではないかと思う人々もいます。しかし、私は日本とアメリカをつなぐ異文化コミュニケーション分野でのキャリアを歩み続けることを決してあきらめなかったのです。

次に、自分の中にある情熱を発見してください。情熱は自分のアイデンティティを育むうえで、そして愛情と思いやりを持ちながら他者と関わっていくうえでとても大切なものです。他者との関わりを通して、自分の考え方や生き方が、どれほど他人と違うかを探究していくことは心躍ることです。自分と他者の違いこそが、あなたをよりよい人間に導いてくれるのです。だから、心を開いてください。異なる文化の人々から学び、その人々を愛する心を持っていれば、文化の違いを尊重し、探究できるようになるはずです。そうすれば、文化を超えて世界と関わる新しい能力を獲得していく自分にもワクワクし続けられることでしょう。

そして、カメにはならないでください。カメは、知らないものに出会うと手足を引っ込めてしまいます。変化から自分を守ってしまうと、カメのように長生きはできるかもしれませんが、成長はできないのです。サナギから羽化すると美しいチョウへと生まれ変わる幼虫のように準備をしてください。

私の友人に吉川宗男さんがいます。彼は、ハワイ大学で30年間以上にわたり、日本語と日本文化を教えてきた人物です。彼は「型」と「形」の概念についてこう説明してくれました。 「型を学び、型を実践し、型を修得する。そうれば、自分の血(ち)が型(かた)に入り、新しい形(かたち)が生まれる」 茶道や華道の世界でも、新しい流派が生まれています。その師範たちは、伝統的な「型」を修得したうえで、自分の「血」を反映して、新しい「形」を構築しようとしているのです。それを学びたいと思う人々のためにね。どうぞ、気後れすることなく、自分の形を生み出してください。 (8/9)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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