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50th Anniversary -Interviews-
学長となって力を入れたことは教員が研究できる環境づくりでした。ELI(English Language Institute)にはネイティブの教員がたくさんいて、彼らには研究したいという意欲がありました。研究活動は大切であり、育てなければなりません。彼らにとっても研究業績は大切です。私は彼らの研究と学会での発表を支援しました。一生懸命勉強したネイティブの教員は海外で優秀な発表をして、そして任期を終えると有名な大学へと就職していきました。
ELIのネイティブの教員は3年の契約で、どんどん人を入れ替えながら、教員を養成していきました。ELIには、新しい人材を登用し続けることでそのカリキュラムを開発し続けるという狙いがあったからです。優秀な教員を育成するという点では社会のニーズにも応えていたでしょう。でも、個人的にはもったいないと思っていましたよ。もっと働きたいと心を神田に残しながら、日本を去っていくネイティブも多かった。だから私が学長をしているときは、相談されると、できるだけ国内の勤め先を紹介しました。(※2)
サバティカル(研究休暇)を設けたのも私が学長になってからです。当時、英米語学科で教えていた久泉鶴雄先生や原岡笙子先生はこのサバティカルを活用して、素晴らしい研究をされましたね。
この久泉先生と原岡先生が英米語学科の立役者でした。私が学長に就任した当時、英米語学科のカリキュラムは専門課目が体系的ではなかったのです。あまりにもカジュアルでした。カリキュラムを作った先生方は喫茶店でコーヒーを飲みながら考えたというんですから。学生が英米語学科で4年間学んで卒業するときに、英語に加えて何か専門的な知識がなければ、別の大学の大学院に行くにも、就職するにも不利だと私は思ったんです。
そこで、久泉先生と原岡先生とともに会議室に1週間ほど缶詰になって専門課目を組み直しました。まず、副専攻というアイデアを出しました。主専攻は語学で、副専攻として語学を通じて専門知識を学ぶという考え方です。それを基にして、授業の内容を「コンテントベース」に置き換えていきました。内容(コンテント)を中心に置いた英語のプログラムです。従来の課目を一つずつ直していきました。とても時間がかかる作業でした。
いくつかの課目では文化的な内容を重視しました。英語を学ぶうえでは、文化を学ぶことが重要です。文化をきちんと心得ていないで、言葉だけをロボットみたいに練習しても意味がありません。(3/5)