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50th Anniversary -Interviews-
自分の器量を知るということはとても大切です。
神田外語大学は1学部のみで1学年の学生数800人です。大学経営者としての僕の器ではこの規模が限界でしょう。日本の大学では、学部ごとに組織が独立していて、2学部あれば、2つの学校があるようなものです。複数の学部をひとつの大学として融合するのは、僕にはできません。
それに、学部が増えて、総合大学になっていくと、大学としての特色が薄まるおそれがある。神田外語大学はまだ、学部を増やす時ではありません。まずは外国語教育で定評を得て、さらにコミュニケーション教育で評価を得る。学部を増やすのは、それをきちんと達成してからではないでしょうか。
人が必要としていることを提供する。それができれば、仕事はうまくいきます。極めてシンプルな原理原則です。神田外語グループの6機関はどれも、「学生や卒業生が何を必要としているのだろうか?」という問いかけに対する答えです。
必要とされていることでも事業を興すにはタイミングを見極めなければなりません。タイミング、つまり「時」は、考えて分かることではなく、感覚でつかみ取るものです。学び、考え続けていると、今が「その時」であるということを感じられるのです。
大学の設立に向けて、コンセプトを模索していたときに、古田暁先生に出会いました。古田先生は、欧米で神学の博士号を取られて、バチカンでも研究をしていた。講談社の『英文日本大百科事典』の編集主幹をしており、その当時は誰も知らなかった異文化コミュニケーションを研究されていた。異文化理解とコミュニケーションを核とする大学を創るには最高の人物だと感じて、最初にお会いした場で、「一緒にやりましょう」とお願いしました。
ブリティッシュヒルズの川田雄基館長も、出会ったときに「この人だ!」と確信しました。英国文化を体現する施設に魂を吹き込めるのは、日本と英国の両方の文化に深い造詣を持つ川田さんしかいない。ご本人は乗り気ではなかったようですが、福島の工事現場まで見に行っていただくと、「理事長、ミイラ取りがミイラになってしまいましたよ」といい笑顔で館長を引き受けてくれました。
僕はそうやって、瞬間、瞬間で感じて、直観で判断を下してきたんです。(4/6)