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50th Anniversary -Interviews-
50年間にわたり、神田外語グループの経営をされてきた佐野隆治会長は、「言葉は世界をつなぐ平和の礎」という建学の理念のもと、日本の若者に必要な教育とは何かを自らに問いかけながら、時代の先駆けとなる英語教育と関連の事業を生み出してきました。佐野隆治会長が経営者として、人として大切にしていること、そして今お感じになっていることについてお聞きしました。
神田外語がやるべきことは、言葉と文化を学び続け、外国人と対等につき合える日本人を育てることです。それは建学したときからずっと変わりません。
人類は銅や鉄を発明して武器を生産できるようになって以来、戦いを続けてきました。日本にも戦国時代があり、江戸時代の末に開国してからは清国、ロシア、アメリカと戦争をしてきました。人間も動物だから、行動範囲が広がると集団どうしの衝突が起きる。でもそれは時が経つと自然とおさまるものです。地域ごとの集団がそれぞれの文化を持ち、互いに争わない知恵を持つ。人間がもう少し賢くなる時代が訪れると僕は信じています。
世界では今も地域的な紛争が続いています。しかし、長い目で見れば、「戦いの時代」から「理解の時代」に移ろうとしています。だからこそ、外国語を理解し、異文化を理解し、外国人とコミュニケーションできる能力がこれからますます求められるようになる。日本は、武力ではなく経済活動を通じて世界の人と関わっていくと決めているのだから、なおさらのこと異文化コミュニケーションの力が必要なのです。
ただ、今の日本では自国の文化を学ぶ姿勢が失われています。理解というものは、自分がいて、相手がいて成り立つもの。いくら外国語を話せるようになっても、自分の中に自身の文化観がなければ外国人との相互理解は成立しません。日本人は日本の文化をもっと学ばなければならない。そう強く想います。
日本国内でどんな仕事に就いていても、文化観の異なる人々とコミュニケーションが必要な時代になりました。そして、経済活動が停滞する日本に止まっていてもチャンスがないのであれば、海外に飛び出していくほかありません。
神田外語では、学院でも、大学でも、日本文化の教育に力を入れてきました。その方針は変らないし、これからもっと強化していく必要があるでしょう。異文化と日々、向き合いながら生きなければならない若者たちに、日本文化への理解、そして誇りを授けてあげるのは、教育の務めだと僕は思います。(1/6)