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50th Anniversary -Interviews-
これまで、5人の方々に神田外語大学の学長をお願いしてきました。そのとき、そのとき、大学にとって必要な方にお願いしてきました。
初代の小川芳男先生は東京外国語大学で学長を2期務められた英語教育界の重鎮です。昭和30年代に神田外語学院を始めた頃から顧問になっていただきました。文部省の審議会の委員などもおやりになった方だから、大学設立のときにはやはり心強い存在でした。語学の専門教育では数多くの先生方に小川先生の人脈で来ていただきました。残念ながら、開学4年目の平成2(1990)年にお亡くなりになられました。
後を継いだ2代目の学長は井上和子先生です。井上先生は言語学の研究者です。大学ですから、研究のレベルを高める必要がある。井上先生が学長になられて、教員のみなさんがよく研究をされるようになった。井上先生は、それぞれの教員が文部省からどれくらい科学研究費をとったかを非常に重要視されていました。科学研究費をとるためにはしっかりとした論文を書かなくちゃいけないでしょ。そして、大学院言語科学研究科の修士課程と博士課程を立ち上げていただいたのも井上先生です。
井上先生の後の学長は石井米雄先生です。石井先生は、英語の言語学者ではなく、タイの政治法学の研究家です。タイ語を中心に東南アジアの言語や文化に造詣の深い方でした。専門が言語学ではないから、一般教育の先生方からの支持も高かった。文化教育にも力を入れてくださった。2001年には「国際言語文化学科」が設置され、専攻としてインドネシア語、ヴェトナム語、タイ語、ブラジル・ポルトガル語が学べるようになりました。ただ、急に文部科学省から人間文化研究機構の初代機構長に任命され、急遽、まだ任期が残っていたのに学長を辞めなければならなくなった。
そこで外務省の出身の赤澤正人先生に就任を要請しました。赤澤先生は、世界各国の大使館で参事官や公使、大使などを歴任された方です。大学としても、平成13(2001)年に「国際コミュニケーション学科」を設立して、外交分野での人財づくりに力を入れていました。赤澤先生は、国際関連の教育にとても力を入れ、とりわけ外務省を目指す学生たちはよく指導していただきました。それと、赤澤先生は東京大学で学んでいるときに、神田外語学院で英語を学んでいたというご縁もあったんです。
そして2010年には酒井邦弥先生が学長となりました。酒井学長は銀行出身。今度は実業界のご出身ですから、経営や運営といった側面から指導していただいています。大学で働く職員たちにとっても刺激になることでしょう。
それぞれの学長時代に、それぞれの成果があった。でも、それはなっていただいて初めて分かること。何か目的を持ってお願いしているわけではなく、その時のタイミングで、運よくうちの大学に来ていただいた。学長になっていただいて、「あぁ、そういう変化が起きるんだ」と後から分かる。運ですよね。本当に運です。(7/8)