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50th Anniversary -Interviews-
古田先生は、異文研の研究所を「情報センター」と位置づけました。異文化コミュニケーションに関連する書籍をそろえ、蔵書は最大で5000冊に及び、独自の6進法で整理しました。他大学の研究者も閲覧に来ていましたね。異文化コミュニケーションに関する学外からの問い合わせにも積極的に対応しました。
異文研の活動には「教育」「研究」「啓蒙」の3つの柱がありました。まず、「教育」ですが、神田外語大学のカリキュラムでは、専門教育科目として、日本という自分たちの国の文化や価値観の成り立ちを理解する「日本研究」、異国のさまざまな文化背景を学ぶ「国際理解」、そして日本と外国との間をつなぐ「コミュニケーション」の3領域が設けられていました。全学科共通の選択必修科目です。共通科目で文化理解とコミュニケーションを学んだうえで、それぞれの語学の専門性を高めていく仕組みになっていたのです。異文化コミュニケーション研究所のほかに設けられていたのが「日本研究所」と「言語教育研究所」です。教員が研究を続ける環境が整えられ、日本文化や外国語教育の面でも教育内容を充実させる取り組みが行われていたのです。
コミュニケーションの領域では、開学の年に「コミュニケーション論」が設けられ、翌年に「異文化間コミュニケーション論」が開講しました。年を重ねていくごとに新しい科目が必要になり、私は教授会でコミュニケーション科目を増やすことを提案しました。「組織内コミュニケーション論」「メディア・コミュニケーション論」「国際ビジネス・コミュニケーション論」など、アメリカの大学で設けられている科目を次々と設置していきました。「非言語コミュニケーション論」も設けましたが、この科目が日本の大学で設けられたのは神田外語大学が初めてだったと思います。当時、あれほどコミュニケーション科目が充実していた大学は他にはありませんでしたね。
異文研では講義用にビデオも制作しました。例えば、留学生用の学生寮を期限が来て退去しなければならない中国人学生がいる。学生課で日本人寮に入居したいと訴えるが、職員は頑として受け付けない、という内容です。ビデオを見た学生たちからは、「留学生の主張が強すぎる」「職員は留学生の話をもっと聞くべきだ」といった意見が活発に出ます。こういった議論が異文化コミュニケーションのセンスを磨くのには非常に大切なのです。 (6/9)