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50th Anniversary -Interviews-
異文研副所長としての仕事は、とても忙しかった。日々の講義を抱えながらの業務で、事務的な仕事も多い。普通の教員はやりたがらないでしょう。それでも11年間にわたって任務を続けられたのは、とにかく面白かったからです。
当時の異文研はまるでNPOのような団体でした。まずは意義ありきで、いろんな研究者が集まり、みんなで研究の企画を出し合う。予算をきちんと組んでもらったし、研究員や事務員のスタッフもがんばってくれた。そして何よりも古田先生が私を自由に泳がせてくれた。古田先生は、研究所のシンボルとして大きな方向性を決め、アイデアも出してくれますが、細かいことは一切言わずに任せてくれました。古田先生と私はとても相性がよかったと思いますよ。
世界では今も各地で紛争が続いています。20世紀にあれだけ戦争を起こしてきたのに今も争いは終わらない。本来は人間の幸福を追求するはずの宗教もまた争いの原因になっています。専門家のなかには、「グローバル化の時代に、文化の違いをどうこう言うのはもう古い」と言う方もいます。でも、私は世の中の多くの事象は異文化コミュニケーションの視点で十分に語れると思います。
この分野をもっと発展させるには明確な目標設定が必要です。私は異文化コミュニケーションという学問は、平和学だと信じています。日本人と外国人だけでなく、日本人同士であっても文化背景の違いはある。でも、互いの違いをきちんと認識し、違いを受け入れられれば、不要な争い事は回避できるのです。
神田外語大学のある幕張新都心は世界に開かれた国際都市です。幕張というコミュニティーで神田外語大学の力を存分に発揮する。そして一方で国という枠組みを超えて、世界へと向かっていく。そんな大学であり続けてほしいですね。
久米昭元(くめてるゆき)
昭和19(1944)年生まれ。神戸市外国語大学を卒業後、製薬会社や同時通訳会社を経て、ハワイ大学大学院に留学。昭和54(1979)年、ミネソタ大学にて博士号を取得。南山大学、神戸市外国語大学で教鞭を執った後、平成2(1990)年から平成12(2000)年まで神田外語大学教授、および異文化コミュニケーション研究所副所長を務めた。その後、立教大学異文化コミュニケーション学部にて、教授、特任教授を歴任し2014年3月に定年退職。現在は北海道で第二の人生を謳歌している。(9/9)