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50th Anniversary -Interviews-
神田外語大学のELIでは、「神田アプローチ」とも言うべき、とてもユニークな学習理論を開発しました。そのアプローチは4つの「i」から成り立っています。語学学習における、"independence"(自立)、"interdependence"(相互依存)、"interaction"(相互作用)、"individualization" (個人仕様化)です。
まず、学生たちが学習プログラムを自分で計画できるようにします。これが「自立」です。次に、学生たちは互いに協力しながら、英語を上達させていきます。「相互依存」ですね。次は「相互作用」。学生たちは相互作用をしなければなりません。そして4つ目は「個人仕様化」です。ELIのカリキュラムは習熟度合いの違う1人ひとりに向けて設計されているのです。SALCは神田アプローチのこの部分を実現しています。こういった神田アプローチによって、クラスでは膨大な量のコミュニケーションが行われます。学生たちは、学習において非常にアクティブになるのです。
この4つのiから成る神田アプローチによって、学生たちは自分の学習に責任を持てるようになっていくのです。大学は学生が教師のもとで学ぶ最後のチャンスです。私たち教員は、使命として、学生に学び方を教えなければならない。つまり、学生は「自立学習者」になるのです。
自立学習者という考え方について、私は日本に来るずっと以前から本や論文をたくさん書いてきました。最初に本を出版したのは昭和45(1970)年のことです。しかし、この考えを実践する機会はまったくありませんでした。それはなぜか?教室のなかで、30人の生徒に対して1人の教員が教えること、それが一般的な教育だからです。香港では、「ジョンソン先生、あなたには高い給料を払っているのだから、答えを教えてくれればいいんです」とさえ言われました。自立学習者という考え方をベースにした神田アプローチはまったく違います。学生自らに行動させ、クラスメイトや教員と話させることによって学んでいく学習法なのです。
このアプローチを日本人の先生方に説明すると、「日本の学生は、とても真面目で、行儀はよいですが、行動もしなければ、話もしませんよ」と言われました。では、成果はどうでしょう。どうぞ神田外語大学のELIのクラスに来てください。学生たちがみんな活発に話しているのをご覧になれますよ。時には、どうすれば静かにできるのか、悩んでしまうくらいにね。そう、彼らはコミニカティブな状態になっているのです。
神田アプローチにおいては、教員の仕事は教えることではありません。学生が自分で答えにたどり着けるように学ぶことを手伝うことです。教員はクラスのボスではありません。学習を手助けする友達なのです。教員は学習にはさまざまな方法があることを示してくれる友達です。世界中からELIに集まってきた教員たちは、修士号を取得したばかりなので教師としての経験は浅い。でもだからこそ、新しい方法を経験することに熱心でした。かつてない教育法を実践することをいとわない教員たちがたくさんいたこと、それは神田外語のELIにとってとても幸運なことでした。
ただ、この新しい方法を実践するうえで、日本人の同僚の教員たちを説得するのは非常に困難でした。日本では、英語は文章で学ぶものだと考えています。しかし、私の考え、そして神田アプローチは違う。私は80年代の終わりから90年代の初めにかけて、神田外語学院のカリキュラムの改訂に携わったことがあります。学院にはとても強い教職員組合があり、新しい教育法の導入に反発がありました。「私たちの教え方に何か問題がありますか?」と日本人の先生方は反論します。自分たちは批判されている、と思われたのでしょう。まったくの見当違いです。ただ、日本に限ったことでなく、世界中のどこでも教師というのは保守的なものです。(4/6)