神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第11回 佐野隆治会長『かつてない英語教育を目指した学院』

学生時代から英語が好きじゃなかった
楽しく勉強できる方法をずっと考えてきた

当時の英語教育はミシガン大学が開発した「パターン・プラクティス」が主流でした。何度も繰り返すんですよ。そうしないと覚えないんだけど、そんなのつまらないですよね。

僕は学生時代から英語が好きじゃなかった。英語が得意ではない立場で、どうしたら学生たちがうまくなるかを考えた。黒板があって、先生が説明する。そんなの面白くないじゃないですか。興味がそそられて、もっと楽しく勉強できる方法はないかとずっと考えてきたわけですよ。

昭和44(1969)年には現在の本館の建物も完成しました。その時に新しいことを始めたんです。ロングマンっていう会社がありましてね。イギリスの会社で、英語教材では大手だった。そこがマンガのフィルムを作っていたんですよ。本館の各教室にテレビを置いて、スタジオからそのフィルムを流して、先生が映像を使いながら授業をする。それができたらおもしろいだろうと発想しました。

親父に相談すると、最初は「そういうもので言葉を覚えられるのだろうか」と疑問を呈していましたが、最終的にはOKしてくれました。運よく、そういった機器に強い若い連中とも出会うこともできたから、導入することができたのです。

実際にやってみると、学生たちには好評でしたね。神田外語の人気も上がりました。当時はまだ、教育にビデオを使うことなんてなかった時代でしたからね。それにマンガでしょ。学生たちは興味を持ちますよ。当時の学院には、今の視聴覚教育の原点となる試みがあったんですよ。

その次はLL(Learning Laboratory)を始めました。当時、ある雑誌で米軍がヨーロッパに進出したときの記事を読みました。フランス、ドイツ、イタリアといった国々に将校を派遣する。言葉が分からなければ現地で情報収集ができないから、将校たちは、LLで徹底的に現地の言葉を覚えてから現地に送り出された。これを英語でやってみようというのがLLの始まりでした。(4/6)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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