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50th Anniversary -Interviews-
瓦や窓枠といった建材はイギリスからの取り寄せです。宿泊棟の骨組みに使っている材木も現地で調達しました。オーク材といって、日本でいう樫(カシ)ですが、ちょっと違う。太さが1尺(約30センチ)もある樫の木なんて日本じゃ滅多にありませんからね。
オーク材の購入では、おもしろい話があるんですよ。うちがオーク材を調達していた時期にロンドンの劇場、グローブ座も建て替えていた。でも、あちらは完成が遅れたんです。すると、劇場の責任者は「日本にある神田外語という学校がオーク材を買い占めたのが原因だ」って言い出して、それがイギリスの新聞でも報道された。一流紙ですよ。そのニュースが日本にも伝わって、日本のマスコミもおもしろおかしく取り上げる始末です。
こちらはきちんと契約して、調達している。あまりにもいい加減だから、イギリスの新聞社にも抗議して、謝罪文も出させました。どうやら劇場と材木業者が何か都合の悪いことがあって、うちに責任を押しつけようとしたようです。でも、設計を依頼していた会社のトップが伯爵でね。彼は、新聞社にも顔が効いたから、きちんと謝罪するところまで詰めることができた。
マナーハウスの骨組みは鉄筋です。石で造ることも考えましたが、工期が倍になってしまいますからね。鉄筋でも2年かかりました。冬場は雪が積もって、屋外の作業ができないんです。石だと4年になってしまうから、さすがに予算が合いませんでした。でも、石で造りたかったなぁ。
建物を造っているときに、内装を決めていきました。もう一度、イギリスに行って、マナーハウスの内装をじっくりと見学した。ライブラリーを設ける予定だったので、ロンドンから2時間ほどの街に行って古書を仕入れた。建築の本もずいぶんと購入しました。建物の細部までスケッチしている本をたくさん見つけてね。イギリスには結構、そういう本が多いんですよ。内装の下準備も2年ぐらいはかかりましたね。
家具の買い付けや内装資材の手配はできるだけ自分たちでやりました。設計会社に頼むと、とんでもない請求が来る。伯爵様ですからね(笑)。(4/8)