神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第16回 佐野隆治会長『パスポートのいらない英国を創る』

文化の蓄積は、豊潤なかたちとなりいつか華開き、
その価値が西に戻ったとき世界に平和が訪れる

僕は、日本人に外国の文化をもっと理解できるようになってほしいと思っているんですよ。それも見た目で判断するんじゃなくて、精神性まで踏み込んで理解できるようになってほしい。そのために、ブリティッシュヒルズを創った。文化の大切さを啓蒙していきたいけれど、ただ知識を教え込むんじゃなくて、体験することで自然に感じて、学べる場所を提供したかったんです。

ブリティッシュヒルズのスタッフには本物の文化を創ってほしい。本気で勉強して、本物を理解して、本物がなんであるかを自分の言葉で説明できるようになってほしい。僕の時代じゃあ無理なんだろうけど、次の世代が本気になって人づくりをしていけばきっとできる。そして、文化的な集団をブリティッシュヒルズに創っていく。そういう意欲を持ってほしい。

日本人は、文化的にもしっかりしているし、人間が優しくて、プライドもある。色んな国の文化や習慣を自然に受け入れて、消化してしまう。そんなすごい人種、ほかにはいませんよ。僕は日本人が目覚めて、本気になることに期待している。長い歴史の中で、ヨーロッパから中東、中国、韓国を伝わって、日本にさまざまな文化がやってきた。その文化は日本に蓄積していった。日本の先は海だから伝えようがない。日本人の価値観には、すでに世界の文化が入っているんです。だから、日本人が本当に目覚めれば、世界の文化や宗教を受け止めて、独自の哲学を創れるはずです。

文化の蓄積は、豊潤なかたちとなって、いつか華開くでしょう。その価値がふたたび西へ西へと戻っていったとき、世界に平和が訪れるんじゃないかな。平和な世界の「種」を創れるのは日本人だと思いますよ。(8/8)

佐野隆治(さのりゅうじ)
昭和9(1934)年東京生まれ。慶應義塾大学法学部中退。昭和38(1963)年、神田外語学院の前身であるセントラル米英語学院の経営に参画、以来、神田外語グループの発展において中心的な役割を果たす。昭和63(1988)年学校法人佐野学園の第3代理事長に就任。平成22(2010)年、理事長を退き、会長に就任する。平成29(2017)年3月永眠。享年82歳。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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