神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第25回 糟谷幸徳神田外語学院第7代学院長 社会の「今」に必要とされる専門学校を追究する

どれほど需要があっても教育機関には
崩してはいけないポリシーがある

大学の編入学試験には、英語以外の科目もあります。そこで、編入学対策の講座を設けて、放課後の5限目や夏休み・冬休みに集中講座を実施しました。外部から講師を呼びましたが、受講料は1講座月額でわずか500円です。講師料を賄うだけの金額に抑えました。大学編入専攻として授業料を納めてもらっているわけだから、課外講座ではもうける必要はありません。

こういった施策が功を奏して、大学編入学の実績が上がっていくと、神田外語学院への入学者は急増していきました。入学者数が底を打った2008年の705人から、平成30(2018)年には2倍近くの1368人まで増えました。大学への編入学をする学生は毎年、300人から400人に上りました。

この時期になると入学をお断りする学生も百人単位でいたので、「大学編入専攻以外のコースに入学させて、編入学も指導をすればよい」という意見もありました。しかし、私は「専攻する学問が異なるので無理です」と反対しました。どれほど需要があっても、教育機関には崩してはいけないポリシーがあるのです。

かたくなに「編入学の予備校にはするな」と言い続けた佐野隆治会長ですが、学生の英語学習の質と量を高めることには燃えていました。「家へ帰って勉強するはずない。学校でいっぱい勉強させないと英語ができるようにならない」というのが持論です。だから、「単位数を増やします」と提案すると本当に喜びました。

授業数を増やせば経営的にはコストはかさみますが、文句を言われたことは一度もありません。神田外語学院の卒業単位は130単位で、一番多い学科は148単位に上ります。大学の124単位よりもはるかに多いのです。神田外語学院の役割は、英語教育を通じて世界の懸け橋となる人間を育てること。その軸をぶらさないことこそが神田外語学院の価値を高めると、佐野隆治会長は考えたのでしょう。

そして、教育内容に加えて重要なのは学習環境です。今の学生たちは最新の設備やきれいな施設でなければ満足しません。多くの学生に入学してもらい、得られた収益を投資し、さらに設備や施設を改善していく。その循環が重要です。

平成24(2012)年にアジア/ヨーロッパ言語科が主に使う6号館をリニューアルしました。私が最初に担当したVISTAも段階的に改装を拡張し、平成25(2013)年には「VISTA ACT」と「VISTA SILC」が完成しました。平成27(2015)年には「MOVE (Multilingual Opportunities and Valuable Experiences)多言語センター」も開設。その後も、増加する学生を収容するために、9号館や10号館を新たに設立していきました。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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