神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第18回 赤澤正人神田外語大学第4代学長『国際舞台を目指す学生に道を示す』

学生との対話で感じた内向き志向
若者には時代の閉塞感を打ち破ってほしい

学長に着任した私がとにかく心がけたのは学生と直接、対話することでした。大きな大学であると、学長というのは入学式と卒業式にしか見ないし、学長が変わっても分らないこともあります。神田外語大学ぐらいの規模だと学長との距離は近くなりますが、そうは言っても3000人以上の学生がいます。

ブリティッシュヒルズで行われる新入生のオリエンテーションでは、全学科の1年生と語り合いました。学生は学科ごとに数十人ずつ来て、1泊していくのですが、私は11連泊です。オリエンテーションには必ず「学長と語ろう」というセッションを入れてもらい、夜はパブで遅くまで話しました。未成年ですから、ソフトドリンクを片手にです。

じっくり話していると、もっと話したいと言ってくれる学生が現れます。私は大学で授業を持っているわけではないので、クラスでは話す機会がありません。そこで、もっと突っ込んで話したいという学生とは、ランチを一緒に食べながら話すことにしました。人数が多いといろいろな話ができないので、毎回7、8人ぐらいのグループに分けて、「学長と語ろう」という企画を続けました。

学生たちと話していると、当然のことながら大きなジェネレーションギャップを感じました。私の学生時代は、海外に留学するなんて夢のまた夢でした。機会があったら、何としてでも行きたいと思いました。でも、学生たちと話していると、「旅行だったらよいけれど、コンビニがないと生活できないので留学はしたくない」という声も聞かれました。外国語を学ぶ神田外語大学でも、内向きの若者がいることに驚きました。

今の20代の若者達は物心ついたときにはバブルが弾けていて、身の回りにリストラにあった人がいたり、そういう話ばかり聞かされて育ってきた。だからどうしても内向きの姿勢、守りの姿勢になってしまう。ある学生は「小国・日本」という言葉を使っていました。環境問題の話をしていると、「温暖化防止に向けて、アメリカや中国といった大国は別として、小国・日本にできることはあまりないと思います」と言うんです。彼らは社会の閉塞感を強く感じているのでしょう。でも、そういう時だからこそ、この閉塞感を若者が打ち破っていかなくてはならないのです。(4/10)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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