神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第18回 赤澤正人神田外語大学第4代学長『国際舞台を目指す学生に道を示す』

「あいつが言ったことなら信頼しよう」
国と国の関係も結局は人と人なんです

デュッセルドルフで総領事をしていたとき、ドイツ人で日本のお地蔵さんに興味のある方がいました。日本中のお地蔵さんを見て回っているという。お話を聞くと、自然と相手への興味が湧き、会話が生まれます。何かひとつのことに秀でると相手の関心を引きつけることができる。人を引きつける。そこで人間関係が出来ていく。専門分野も、外国語も、外交も関係ない。自分が熱中でき、相手を引きつけられる何かを持っていることが重要です。深く深く何かを突きつめていくことは、人間としての魅力につながっていくことだと思います。

外交は国と国の関係ですが、結局は人と人の関係なんです。どんな外交問題も人と人の信頼関係に基づいて、物事が動いていきます。「あいつが言ったことなら信頼しよう」ということです。深い信頼関係を得るには人間的な魅力が必要です。外交分野だけでなく、国際ビジネスの現場も同じでしょう。生まれ育った背景も文化も違う、どこの馬の骨とも分からない者同士が交渉を通じて接触するわけですから、人間としての幅の広さと魅力が必要なのです。

最近はメールでのコミュニケーションが増えて、返信がないと不安になるようです。でも、社会に出れば、独りでやらなくちゃいけないことばかりです。表面だけの友人が本当に必要でしょうか?友人であれば深い話ができなければ意味がありません。表面的な人間関係に惑わされるなら、独りでいたほうがいい。独りでできることはたくさんあります。

神田外語の学生には、外国に飛び出して、海外から見て日本のよい所をたくさん知り、何よりも異文化の中で外国人と渡り合う強靭さを養ってほしいですね。(10/10)

赤澤正人(あかざわまさと)
昭和20(1945)生まれ。昭和43(1968)年3月、東京大学法学部卒業後、外務省に入省。昭和46(1971)年6月、米国・ハバフォード大学国際関係学科を卒業。以来、各国の大使館勤務を経て、ドイツ・デュッセルドルフ総領事、ドミニカ共和国大使を歴任する。平成16(2004)年に神田外語大学の第4代学長に就任。6年間の任期を務め、平成22(2010)年3月に退任。平成24(2012)年4月、嘉悦大学学長に就任。現在も非常勤講師として神田外語大学で教鞭を執り、外交官として得た知見を学生たちに教授している。
令和6年(2024)年3月永眠。享年78歳。

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取材・文:山口剛

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