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50th Anniversary -Interviews-
佐野隆治会長は、経営者として、徹底してぶれない考え方をお持ちです。学長に就任したとき、「自分は経営をやる、学事に関しては任せる」と言っていただいたので、非常にやりやすかったですね。大学として教授会で決まったことを理事会に反映する。もちろん、経営的観点からの指示はありましたが、基本的にこちらの決定を否定されることはほとんどありませんでした。
7号館の計画は、新しい図書館を作ってほしいという要望に応えるかたちで始まりましたが、2階には、英語以外の言語を学ぶ学生に各言語の文化環境の施設、MULC(Multilingual Communication Center)が計画されました。平成15(2003)年には6号館が完成していて、英語の教育施設SACLA(Self-Access, Communication, Learner Autonomy)ができたのですが、他の言語の施設はなかったからです。
平成20(2008)年に完成した7号館は、ガラス張りの流線型の建物で、MULCでは各国の建物が見事に再現されました。あそこまですごい施設を創るなど誰も予想していません。こんな立派なものが必要なのかという意見もありました。しかし佐野会長は「創るんなら、中途半端なものは創るな」とおっしゃいます。ブリティッシュヒルズと同じです。費用がかかってもそれは投資であり、必ず評価されるという考えです。そしてキャンパスを訪れた高校生は、SACLAやMULCを体験すると「絶対、神田外語大学に行きたい!」となるのです。
外国に憧れて神田外語大学に入ってきた学生たちには強靱性を持ってほしい。英語で言う “resilience”です。バネで跳ね返す力。学生たちは「国際舞台で働きたい」と言います。でも、それは日々想定外のことが起こることを意味します。今まで日本では想定外のことはあまり起きずに、たいていのことは見通せてきた。ところが、東日本大震災と原発事故という想定外のことが起きました。
外国で仕事をしていると文化の違いもあり、想定外のことばかりです。外交官としての仕事でも、想定外のときはどう対応すればよいか、どう心構えをすればいいかが重要でした。いちいち潰れていられない。立ち向かっていくには、精神的にも、肉体的にも強くなくちゃいけないのです。異文化での想定外に耐えた経験は、日本で働いていても必ず役立ちます。(9/10)