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ブリティッシュヒルズのオープニングに向けたスタッフの人選は完璧でした。
まず、館長であり、総責任者を務めたのは川田雄基氏。素晴らしい紳士であり、厳しい人でした。極めて率直な人物で、日本人よりも、ヨーロッパ人的でした。尊敬に値する友人です。三菱商事に長年勤めており、イギリスやヨーロッパの文化と歴史に関して深い造詣を持つ人物です。彼は日本に到着した私にブリティッシュヒルズのコンセプトについて熱く語ってくれました。
ブリティッシュヒルズでは、ここを真のイギリスにするためにバトラー(執事)を採用しました。イギリスでは規模の大きい家では必ずバトラーがいます。バトラーは家主の個人秘書であり、家庭内でのサービスを統括する責任者です。ピーター・スタンブリーです。とても技量のあるバトラーでした。彼はプロのバトラーの協会であるアイヴォー・スペンサーから派遣されていました。彼の大きな役割は、家主である佐野隆治理事長(現・佐野学園会長)とVIPゲストのお世話をすることでした。
フォルスタッフパブの責任者、パブリカンのビル・ブラウンも到着していました。ビルは生粋のロンドンっ子。ブリティッシュヒルズのパブは、田舎風の建物でしたが、彼はロンドンのパブを完璧に再現しました。フィッシュアンドチップスを出して、客をロンドンアクセントで「パンター」と呼ぶ。ライミング・スラング(押韻俗語)も使いこなした。電話(phone)は “dog and bone”、 階段(stairs)は “apples and pears”と言うのです。あくの強い人物でしたが、それぐらいの個性がなければロンドンでパブの主人など務まりません。
イギリスにいた私に電話をかけてきたダン・シモンズ、そして妻のベッキーもいました。彼らは教育の担当であり、ずいぶんと以前から神田外語グループで仕事をしていたようです。ベッキーは通称、鉄の女。クラフトハウスの教育担当です。何事にも極めて慎重に事前調査をして、強い意志を持って臨む人物です。
そして、モト(佐野元泰・現理事長)です。私にとって、彼は年の離れた弟のようなもの。ずいぶんと、一緒に遊びましたよ。
佐野隆治理事長には開業する1、2週間前まではお会いしていなかったと思います。彼がどんな人物であるかも知らなかった。彼はご自分のご両親が発案した「留学しなくてもイギリスの文化と言語を体験できる英国村」を責任を持って実現しました。イギリスに渡って自ら調査をして、プロジェクトを正しい方法によって導いていったのです。(3/9)