? Interviews いしずゑを築く~異文化理解教育の先駆者たち~

異文化理解教育の先駆者たち

第1回 西山和夫ハワイ大学名誉教授『正しい日本を伝えるために』

正しくあるために、とにかく考える
正しいことは必ず通ります

ハワイに来てから53年。私はアメリカ人に日本に対する正しい認識を持ってもらえるように努力してきました。それが私の使命です。ハワイの観光業界向けに日本人の観光客を正しく扱うための本を書き、企業のコンサルティングもしました。でも、それはお金のためじゃない。日本とアメリカの関係づくりに貢献したい。その一心だったのです。

私は物事をはっきりと言うタイプの人間だから、ずいぶんと嫌われもしましたね。でも、「正しいことは、正しい」という信念は揺らぎませんでした。1980年代、日米貿易摩擦によってジャパンバッシングが起きたときも、真っ向から反論しました。だって、いわれのないバッシングなのですから。

平成19(2007)年にはハワイでの不動産投資に関する本を出版しました。日本語と英語のバイリンガルです。ハワイで不動産投資を考えている人に正しい知識を得てほしいという想いで書きました。この本が出て都合が悪い会社もあると思いますよ。だって、日本人は日本語が分かる不動産仲介業者に相談する場合が多いけれど、そういった業者が決してアメリカの法律やハワイの土地に関する規制に通じているわけではないのですから。日本人にはだまされてほしくない。だから書いたんです。

正しくあるためには、とにかく考えることです。分からないことがあれば、まず考えてみる。インターネットに頼らずにね。そうすればおのずと正しい答えが導かれるはずです。そして、正しいことは必ず通ります。

私はハワイ大学1年生のときに、「アメリカが日本の真珠湾攻撃を非難するのならば、アメリカ人は広島と長崎についてきちんと考えなければならない」と主張したことがあります。友人には、「西山、強制送還になるぞ」と言われましたが、そんなことは起こりませんでした。正しいことを主張する権利を認める。私はそんなアメリカが好きです。(7/8)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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