神田外語大学では、従来の外国語大学にはない独自の教育システムを構築していきました。その象徴的な機関が平成元(1989)年に設立されたELI(English Language Institute)です。
ディレクターであるフランシス・ジョンソンは英語を母語としない人々の英語学習について研究を続け、教科書も多数執筆してきた専門家です。彼は「自立学習者」という概念に着眼しました。学生が自発的に学ぶようになる教育環境を提供する画期的な教育理論です。ジョンソンは、学部から独立した機関であるELIで永年温めてきた教育法を実践していきました。
ELIの教員は応用言語学の修士課程を終えたばかりの若い研究者たちです。世界中から教員を採用し、多種多様な英語に触れられる機会を提供しました。教員たちは、学生と交流し、自らの研究も行い、新しい学習法を開発します。当初は4人だったELI教員は71人(2013年現在)にまで拡大しました。
平成15(2003)年、ELIでの研究を集約したSALC(Self-Access Learning Center)が完成しました。ELIの英語教員たちと英語でコミュニケーションし、学習のやる気を高める。施設には充実した教材や機材がそろい、学習アドバイザーが常駐している。それは佐野学園が永年抱いてきた外国語教育施設の完成型でした。現在、佐野学園では大学間教育連携事業として、SALCのカリキュラムや教員を包括的なソリューションとして、他大学に提供しています。
神田外語大学では、平成13(2001)年に「国際コミュニケーション学科」「国際言語文化学科」を設立しました。開学から15年目にして、日本文化と異文化コミュニケーションの学びを軸とした学科を設けることができたのです。
そして、平成24(2012)年4月、異文化コミュニケーション研究所は国際社会研究所と統合し、「グローバル・コミュニケーション研究所」として生まれ変わりました。平成25(2013)年には、大学の学科も英米語学科、アジア言語学科、イベロアメリカ言語学科へと改編されました。
インターネットなど通信技術の革新によって、私たちは世界中と瞬時につながれるようになりました。グローバリゼーションが進み、人間の活動が国の垣根を越える時代になったからこそ、異文化コミュニケーションはその重要性を増していると言えます。佐野学園は、これからも異文化コミュニケーション教育と研究に力を入れ、胎動する世界で活躍する若者を育成していきます。