神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第7回 佐々木輝雄氏『理想の英語教育を求めて』

小川先生の考えを一つずつ実現しながら
かつてない外大の教育システムを整えた

神田外語大学は総合的な指導と少人数制という特徴がありました。人数が少なければ何か話さなければならない。外国語を話すことを学ぶうえでは大切な条件です。教室の椅子の数も限られていて、それ以上の学生は入れない。だから、講堂以外に大きな教室はありませんでした。

全国英語研究会のような大きな集まりをすると、分科会をする場所がなくて困りましたね。教室が狭くて、先生方が入りきれない。それぐらい徹底していました。それも当時は画期的でしたね。

教室の机の配置も従来の全員が教壇に向かうかたちではなく、馬のひづめのような馬蹄形にしました。半円形とも言いますね。これであれば他の学生の顔も見えて、活発な議論が生まれます。それと授業の長さも45分にしました。通常、大学の講義は90分ですが、小川先生はそれでは長過ぎるとおっしゃっていました。人間の緊張感は45分が限界だそうです。

総合的な英語指導、リスニングや時事問題、面接に力を入れた入試、そして少人数制で45分の授業。私たちは小川先生の考えを一つひとつ実現しながら、かつてない外国語学校のシステムを整えていきました。

小川先生は東京外国語大学の学長も経験された方です。神田外語大学の学長としては、今まで描いてきた理想の形をすべて実践するという意気込みをお持ちでした。大きな希望を持っていたのでしょうね。

大学が始まった当初、私は一般課程の英語を教えていました。「インテンシブ・リーディング」という科目です。授業では、読んで一語一語を訳すのではなく、文章を読ませて何が書いているかを要約させるのです。学生たちもやっているうちに慣れて、授業中に書いてあることを要約して英語で表現することができるようになってきました。

でも、こちらは大変ですよ。定期試験をすると、学生一人ひとりによって答えが異なるので、すべてきちんと英語を読んで採点しなければならないんですから。単なるマルバツの採点のほうのがずっと楽ですからね。(7/10)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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