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50th Anniversary -Interviews-
トップの経営者には先見の明がなければならない。公一先生も、隆治会長も、そういう先見の明がある。だからおふたりの事業には、20年ぐらい先になって社会が理解できるようになったものもある。だけど、経営者はその「読み」を間違えると大変なことになる。佐野学園であれば、1,000名ぐらいの教職員がいて、家族を合わせると3,000名ぐらいになり、学生も合わせると8,000名ぐらいの人々が関わっている。経営者は、その全員に対して経営責任がある。
だから、経営者は孤独です。隆治会長は、いつも孤独で、「熟慮断行」をされていた。カリスマ創業者であった公一先生、そして、その共同創業者であるきく枝先生の時代は、経営を相談するパートナーがいた。でも隆治会長はずっと独りで考え、行動に移していったのです。時には1年、2年という時間をかけることもありました。愚痴ひとつ言わない。「熟慮断行」。経営者、佐野隆治を表現する言葉はそれに尽きます。
ブリティッシュヒルズにしても、ご自分の会社を設立されて、自身の資産を投資されて創られました。苦悩されて、決断した。その代わり徹底的に本物にこだわって、文化財的な価値にまで押し上げた。バブル期、日本全国にテーマパークが出来たけれど、ことごとくつぶれた。中途半端なものだったら、残っていませんよ。そして、その文化財を佐野学園の裾野を広げ、ファンを増やすための宣伝媒体として活用する。文化への造詣が深かった神田外語大学の石井米雄学長が、公の場でも、プライベートでも、「ブリティッシュヒルズは我が大学にとって必要なものです」と強くおっしゃっていたのが印象的でした。
もうひとつ佐野隆治という経営者のすごいのは、「俺はついてたよ」と言うことです。誰だって、自分がやってきたことで成果が挙がれば、自分がやったからだと言いたくなるものですね。でも、隆治会長は決してそう言わない。「俺はついてたよ」と言うだけです。確かに経営者には運のない人もいる。でも、それ以上に経営者には「徳」が必要であると思う。その徳は、親から受け継いだものであり、自分の努力によって手に入れるものかもしれない。隆治会長は、その徳を持っている方だと思うし、我々はそういう経営者のもとで働けることを誇りに感じてよいと思います。(10/11)。