神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第8回 山岸秀豪佐野学園監事『受け継がれゆく創業の精神』

求められているのはイノベーション。
10年先を目指し、学園の価値を高めてほしい。

神田外語グループは、間もなく創立50周年を迎えます。100年を目指して、さらなる50年を歩んで欲しいと思いますが、そのためにはこの10年が勝負であると私は思います。世界はものすごいスピードで変化しています。だから、経営者は今以上に、先見の明が求められる。まず、10年先をどうするか。大学を例に挙げれば、単科大学としての存在価値を考えなければなりません。

経済の世界であれば、大手企業であっても、事業の合併は当たり前に行われています。保険や銀行では、旧財閥の明治(三菱)と安田、三井と住友が合併している。学校だって例外ではないし、現に関西では、国立大学の例ではあるけれど、大阪外国語大学が大阪大学に統合されました。

神田外語が生き残るには、どのようにオンリーワンとしての価値を高めるかにかかっています。合併するにしても、神田外語が中心にいなければいけません。小学校で英語が義務教育となったとき、その10年先には英語を話せるのが当たり前の時代が来るかもしれない。外国語大学の存在価値は、現在とは変わっているはずです。

求められているのはイノベーションです。これまでの学校では教育力や財務力が重要でしたが、これからは従来の型にはまらない改革と進歩が必要です。働く人々も常に危機感を持っていなければなりません。働く者すべてが佐野学園の価値を見極め、そして高めていく。10年先に目標を設定して、それに向かっていく。10年先を視野にした指導を行い、仕事をしていく。「どうせ、私はそのときにはいないだろう」ではいけません。人間には寿命があります。しかし、組織はもっと長く生きることができる。期限はありません。エンドレスの発展を実現できるかどうかは、今にかかっているのです。(11/11)

山岸 秀豪(やまぎし しゅうごう)
昭和6(1931)年、福井県鯖江市生まれ。昭和31(1956)年、中央大学法学部を卒業後、明治生命保険相互会社に入社。昭和44(1969)年に学校法人佐野学園の監事に就任。当時からの唯一の役員。明治生命では法人顧客の開拓に手腕を発揮し、関西地区の要職を歴任。平成4(1992)年に同社の関連会社の取締役を退職。その後、故郷・鯖江に拠点を移し、佐野学園監事を続けながら、趣味である庭園づくりにいそしむ。福井ブランド大使も務める。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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