神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第5回 河村幹夫ブリティッシュヒルズ初代館長『外国人との交流は文化理解から始まる』

若者に本物に触れさせ、度胸をつけさせることが
ブリティッシュヒルズのノブレス・オブリージュ

平成26(2014)年、ブリティッシュヒルズは開館20周年を迎えた。開館当初から、この施設が掲げてきた理念がある。「ノブレス・オブリージュ」である。イギリス文化に詳しい河村幹夫はノブレス・オブリージュについてこう解説する。

「中世ヨーロッパ、騎士道が盛んだった時代に生まれた言葉です。その言葉の通り『位の高い者(ノブレス)の義務(オブリージュ)』という意味です。戦いに勝ったとき、下の位の戦士たちが頭領に向かって、『頭領だけで独り占めするな!』と主張したのが起源だと言われています。もともとはフランスで発生した言葉ですが、フランスではもう残っていません」

河村によると、今もイギリスの中流以上のクラスにはノブレス・オブリージュの概念が残っているという。学校で習うわけでもなく、親から子へと受け継がれている価値観なのである。イギリスの皇室では、皇太子たちが軍隊に入隊し、実際の戦地に赴くことがある。国家の危機が生じたときに、位の高い者が率先して行動するのも、ノブレス・オブリージュの精神に基づくものといえるのだ。

学校は常に学生の利益を最優先にする。佐野学園は設立以来、この原則を守りながら事業を拡大し続けてきた。神田外語学院では、ひとりでも多くの学生が学べるように校舎を拡大し、外国人教員の大量採用や視聴覚設備など惜しみない投資を行ってきた。法律では専修学校修了者は大学に編入学できる資格を持つと定められているが、神田外語学院の卒業生を受け入れる大学がない現実が原動力になって設立した神田外語大学。そして、卒業生の転職をサポートする「神田外語アソシエイツ」や、社会人がビジネス英語を学ぶ「神田外語キャリアカレッジ」、さらには、卒業生が児童英語教育に携われる機会を提供する「神田外語キッズクラブ」。神田外語の事業はすべて学生のために発案されたのである。

佐野学園が関連する事業で得た資金を投じて、日本国内に本物の外国の環境をつくったブリティッシュヒルズ。語学だけでなく、文化や歴史、そして礼儀作法についても教える。外国人と対等に渡り合えるように、海外経験のない若者たちに本物に触れさせ、度胸をつけさせる。それこそが、ブリティッシュヒルズが次世代を担う若者たちに果たそうとしているノブレス・オブリージュなのだ。

学校法人佐野学園:理事長室・いしずゑ会
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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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