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石井先生の後任は、外交官を務められてきた赤澤正人先生です(※13)。仕事をして驚いたのは、赤澤先生の仕事のスタイルです。例えば、式典のスピーチ。これまでの学長の方々は、すべてご自分で原稿を書かれたし、それに手を加えるなどもってのほかでした。しかし、赤澤先生はすべて用意するよう指示されました。
大使として各国との外交にあたってこられた赤澤先生は、「大使として私の発言は国の考えを代弁するものです。そこに私個人の考えが入ってよいはずはありません。同じように学長の言葉は大学全体の考えを代弁するものです。ですから、原稿はすべて公式な見解を用意してください」という考え方だったのです。
平成22(2010)年、酒井邦弥先生が学長になられたタイミングで、僕はふたたび副学長に任命されました(※14)。酒井先生はみずほ銀行出身ですが、退職後、東京外国語大学の理事をされていました。大学についてよく勉強をされており、人柄も慎重な方なので、大学の事情をよく考えた運営をされたと思います。
酒井先生は、ご自身で大学運営の問題点を発見して、「これはなんとかしないとまずいですね」と指摘をされました。その指摘の大きなものが、平成24(2012)年に実施した学科の改編です。それまでの6学科(英米語学科、スペイン語学科、中国語学科、韓国語学科、国際コミュニケーション学科、国際言語文化学科)を、4学科(英米語学科、アジア言語学科、イベロアメリカ言語学科、国際コミュニケーション学科)に改組したのです。
この改組の目的は、開学以来、増やしてきた言語専攻を改めて大きな領域で再編することで、教育の充実を図ることでした。地域別の学科編成が実現したことで、それぞれの学科のスケール感が大きくなり、一方で人事的な采配も柔軟性をもたせられるようになりました。
神田外語大学には、2年生以降を対象としたオリエンテーションもあり、学長自らが担当します。1年生対象のオリエンテーションキャンプは石井学長が始めたことですが、酒井学長はご自身が担当する学生のオリエンテーションをずいぶんと増やされました。ですから、酒井学長とマンツーマンで話したことのある学生が多いのです。本当に素晴らしい仕事、膨大な業務をやり遂げた方だと思います。(7/8)