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一方、神田外語学院が公に大学編入学を打ち出したことによって、学院の英語力の高い学生を確保できることを知った大学側は積極的に受け入れるようになりました。学院の担当職員が積極的に働きかけたことで、編入学の指定校推薦枠を設ける大学も増えていきました。
滋賀大学、埼玉大学、宇都宮大学などの国公立大学へ編入学する学生が増えていきました。広報部も積極的に神田外語学院からの大学編入学という進路を打ち出し、大学進学を志向する男子高校生の志願者が増えていきました。こういった成果を佐野会長にも喜んでいただき、平成22(2010)年に「大学編入センター」が設立され、本格的な支援体制ができたのです。長年、神田外語学院の役割は、「社会へ語学が強い学生を送り出す」ことでしたが、これに「大学へ語学が強い学生を送り出す」ことが加わった。これは、大きな躍進でした。
「学院を予備校にはしない」という佐野会長の絶対的な方針があったおかげで、神田外語学院は本来のミッションを見失わなかったと思います。学院の編入学志望の学生は、それぞれの学科のカリキュラムをこなしたうえで、放課後の課外講座で英語以外の編入学試験対策をしています。日々の授業で英語を鍛えること、TOEICの点数を伸ばすことは編入学試験でも最大の強みとなります。
しかし、難関大学に編入学をするには綿密な準備と対策が必要です。編入学専攻のコースでも専門科目の試験対策の授業はカリキュラムに入っていません。「英語以外の受験対策もカリキュラムに入れた方がいい」という学内の意見もありました。しかし、それでは予備校になってしまいます。神田外語学院はあくまで語学の専門学校です。語学ができる学生を育てなければ意味がありません。
この信念をぶらさないことについては、糟谷学院長とも終始一致していました。糟谷学院長と意思疎通が図れたからこそ、佐野会長の意図をくみながら、大学への編入学を推進できたのです。私ひとりであれば、会長に「学院を予備校にはしない」と言われたら次の手が打てなかったかもしれません。佐野会長は平成29(2017)年にご逝去されましたが、その後も教務部では、神田外語学院はあくまで語学の専門学校であるという信念は継承されていきました。
3本柱の施策が功を奏し、学院への入学者数は右肩上がりで増加し、令和元(2019)年には1368人、令和2(2020)年には1280人に上りました。その半数が大学編入学志望者です。4年制大学の編入学試験(若干名の進学試験含む)の合格者数は平成30(2018)年から令和2(2020)年の3年間の卒業生で延べ915人。国公立大学への入学者は最も多かった年で45人に上りました。