Copyright © 2011 Kanda Gaigo Alumni Association(KGAA). All rights reserved.
平成23(2011)年に東日本大震災が起きると、糟谷さんは「地震でもつぶれない安心感がなければ、この学校を選んでもらえない」と、すぐに校舎の耐震補強工事を実施しました。当時は入学者数が回復期に入っていたとはいえ、学生確保の道筋はまだ見えていませんでした。大変な出費であり、反対意見もあったようです。耐震工事はまさに英断でした。その後、令和2(2020)年まで入学者数は右肩上がりで増えていったので、出費以上の効果をもたらしたと思います。
平成24(2012)年4月、糟谷さんが神田外語学院の学院長に就任しました。高校から学院への入学者を安定的に確保するために、糟谷学院長と私は高校生が学院を志願するメリットをいかに打ち出すかについて議論を重ねました。
大学へ行くのが当たり前の時代、専門学校への進学者そのものが減っている。学院に来てもらうためのメリットを明確に伝えられなければ、学生の増加は見込めないという共通の意識が私と糟谷学院長にはありました。
糟谷学院長は経営のプロで、私は語学教育のプロ。とても良いコンビだったと思います。いつも見ている方向性は同じでした。それと糟谷学院長は決して学院長室にこもらずに、職員のいるフロアで一緒に仕事をしていたので、とても風通しが良い環境で仕事ができました。
高校生に打ち出すべき神田外語学院に進学するメリットとは何か。糟谷学院長とまとめた強化方針は、学院に来れば、「必ず就職できる」に加えて、「TOEICで高得点が取れる」「英語が話せるようになる」「志望大学へ編入学できる」の3本柱でした。
まず、TOEICです。就職試験ではTOEICの点数が重要です。しかし、独学で800点以上を取るのはかなり難しいこと。であれば、学院在学中にTOEICで高得点を確実に取れることをうたえるような指導体制を確立すればいい。糟谷学院長が「TOEICを伸ばすにはどうしたらいいんだ?」と聞くので、「TOEICの指導ノウハウを持った教員が必要です」と答えました。
当時、TOEIC参考書のベストセラー「金のフレーズ」の著者であるTEX加藤さんが学院の非常勤講師をしていました。糟谷学院長は「彼をうちの職員にしよう」と言いだして、学院長の権限で採用しました。さまざまな手続きを省略したスピーディな経営決断でした。加藤さんが講師陣を研修するとともに、3号館1階にはTOEIC学習相談室を新設。学院の中期経営計画にも卒業時のTOEIC平均700点を盛り込み、教職員総動員でTOEICの得点アップに努めたのです。結果として、学院全体で卒業時の平均点が660点、英語専攻科は680点まで伸びました。