神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第26回 長谷川貢神田外語学院元教務センター長 教育の質と成果にこだわる専門学校を目指して

浮かび上がった大学編入学という新たな道と
経営トップが反対するなかでの支援体制の強化

学院へ進学するメリットのふたつ目の柱は、英会話力の向上です。「神田外語学院の卒業生は英語を話せる」という企業の期待に応える会話力を身につけるのです。英会話は、英語で話す機会、英語の音を浴びる機会の多さに比例して上達します。言語習得法の研究では、年間600時間以上は英語を話さないと会話ができるようにならないことが通説でした。その時間を確保するためには、週5回以上、外国人教員の授業を受ける必要があります。そこでカリキュラムを改定し、ネイティブが教える英会話の授業「EIC(English for International Communication)」を増やしました。

そして、3つ目の柱は大学への編入学です。少し時間はさかのぼります。平成20(2008)年秋にリーマンショックが起きた先行きの不安から、確かな語学スキルを身につけられる神田外語学院への入学者数が回復し始めていた時期のことです。英語専攻科の上位クラスの女子学生が東京外国語大学の3年次編入試験に合格したという知らせが入りました。早速、その学生に話を聞いてみました。

彼女は学院入学直後から大学編入学の予備校に通い始めました。英語専攻科の上位クラスは、TOEIC800点以上はざらなので編入学に必要な英語力は学院で自然に養えた。予備校で学んだのは学部の専門科目のみ。彼女の話から浮かび上がったのは、神田外語学院から大学に編入学するという新たな進路のかたちでした。

神田外語学院から大学3年次への編入学を目指せば、浪人をせずに現役のときはかなわなかった上位の大学にも挑戦できます。TOEIC高得点や会話力など、英語を仕上げてから大学に行くという利点もある。編入学の受験対策を支援できれば、予備校に通う必要もない。この道筋を明確に示せれば大学進学を視野に入れた男子学生が神田外語学院に入学する。そんな構想を描き始めたのです。

しかし、トップである佐野会長(当時は理事長)には「学院を予備校にはしない。大学へ編入学したい学生を支援するのはいいが、職員は出さないぞ」と言われました。神田外語学院は昭和32(1957)年に佐野会長のお父様である佐野公一先生、お母様の佐野きく枝先生が開校された学校です。佐野会長も長年、学院の経営を通じて学生を育ててきました。語学教育を通じて世界の懸け橋になる人を育てたい。その想いが強かったので学院を大学編入学の予備校にはしたくなかったのでしょう。オーナーとしての佐野会長の意思は十分に理解できました。

新たな予算を設けて、大学への編入学を支援する専任職員を配置することはできないので、教務センターの職員が従来の業務と兼任するかたちで支援を始めました。その後、英語専攻科に編入学専攻を設けました。「編入学」を掲げましたが、あくまで教育の目的は学院のカリキュラムに沿って英語を学ぶことでした。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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