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平成4(1992)年、神田外語学院では「英語教育公開講座」を一般の英語教育関係者向けに実施し始めました。担当者は広報部長を務めていた児玉朗さん。私はプログラム内容の立案で児玉さんをサポートするとともに、講義も担当しました。学院ではこの講座を、高校の先生方への認知度を高め、信用を得るためのPRの場と位置付けていました。ですから、広報部が担当していたのです。
私も高校で教員をしていたのでよく分かりますが、高校の先生方は、大学についてはたくさんの知識があります。生徒が大学に進学すれば、高校の実績になるからです。しかし、専門学校についてはあまり知りません。生徒から「卒業後、英語を勉強したいのですが、どの学校がいいですか?」と聞かれた先生に、「専門学校だったら神田外語学院がいい」と言ってもらうにはどうしたらよいか? 生徒への絶大な影響力を持つ先生方に神田外語学院を勧めてもらうには、学院の英語教育を知ってもらい、何よりも「信用」を得る必要があったのです。
1990年代に入り、中学高校の英語教育は、読み・書き一辺倒から脱却して、コミュニケーションについても力を入れ始めました。現場で英語を教える先生方は危機感を覚えていたと思います。しかし、先生方は忙し過ぎて授業のアイデアや教材作りを考える時間がほとんどありません。
神田外語学院の英語教育公開講座では、コミュニケーションを主体とした教授法のノウハウを惜しみなく提供しました。私も学院での教え方や教材作りのノウハウを提供できたら先生方はきっと助かるだろうと思ってプログラムの内容を考えました。参加費用はテキストの実費程度ですので、基本的には学院が持ち出しで行っていた企画です。
毎年、夏に開かれる講座には数多くの先生方が参加しました。先生方にとっては情報収集と交流の貴重な場となり、リピートする先生方も数多くいました。公開講座は神田外語学院の教育をPRする絶好の場となり、継続することによって、「専門学校で英語を学ぶなら神田外語学院」という信用が培われていきました。教育の世界では、継続こそが信用を得る手段なのです。
私は平成15(2003)年に佐野学園の職員になり、神田外語学院の教育部門を管理運営する立場になるのですが、公開講座には引き続き力を入れました。平成19(2007)年からは英語教育で著名な研究者や有識者が登壇する基調講演を実施しました。神田外語学院の東京会場だけで参加者は600人を超えました。東日本の主要都市にも会場を広げていき、最盛期には1000人を超えるイベントとなり、神田外語の名前を広め、信用を得るのに大いに貢献しました。