神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第26回 長谷川貢神田外語学院元教務センター長 教育の質と成果にこだわる専門学校を目指して

コロナ禍を経て高まるグローバル化のなかで
英語によるコミュニケーションは必須の能力

2010年代の日本は、海外からの旅行者が増え続けていたので、「英会話をやらなきゃ」という雰囲気があったし、経済も悪くなかったので留学する学生も多くいました。しかし、令和2(2020)年初頭から本格化し始めた新型コロナウイルスのパンデミックにより、海外との往来が困難となり、街角からは外国人旅行者が消えました。神田外語学院が専門教育を行う観光と航空の産業は苦境に陥りました。学院への入学者数は急減し、令和4(2022)年には700人を切り、過去最低にまで落ち込みました。

学院で学ぶ学生たちは、学校に来て、クラスで同級生と一緒に学ぶことで競争心が自然に芽生えます。友達が「帰りにVISTA(※2)で勉強していく」と言えば、「私も、がんばる!」となるのです。いわゆる「クラスダイナミクス」は、学生の学習を後押しするうえで大変重要です。

コロナ禍において学院ではオンライン授業を導入しました。しかし、オンライン授業ではクラスダイナミクスが起きません。切磋琢磨ができないのです。学生の多くは学校に来ないと、勉強時間ではなく、バイトのシフトを増やします。結果として、学院生のTOEIC平均点はコロナ禍前から30点ほど下がりました。コロナ禍は「クラスダイナミクス」の重要性を再認識させてくれました。

令和5(2023)年に入り、マスクの着用、飲食店での会食、海外旅行が緩和され、コロナ禍前並みの水準にまで経済活動が回復してきました。外国人旅行者も急激に増加しました。日本の日常に、英語を話す環境が戻ってきたのです。

グローバル化の波は止められません。日本人も海外に出て行かなければ日本の経済は立ち行かなくなります。そして、外国人とのやりとりの基本は英語です。「AIが発達すれば英語はできなくてもいい」と言う人がいますが、そんなことは決してありません。人と人の会話、つまり音声言語では、声の高さ、大きさ、抑揚、速さ、そして間を感じながら意思のやりとりをしています。AIがこの領域までカバーする日はずっと先のことでしょう。

たとえ、AIが高度に発達しても、翻訳機に頼って会話をしていたら「外国人とやりとりするなら英語ぐらい話せるようになれよ」と相手にされません。機械を通じてコミュニケーションすると会話内容のデータが残るので嫌がられます。企業も社員に対して「翻訳機があるから英語は話せなくていい」という考えを認めるとは思えません。そして何よりも、対面でタイムラグのないやりとりをしているからこそ共感やアイデアが生まれるのです。

※2 VISTA(Village of Innovative Study and Training Access): 学生たちの自立とそれぞれの学習スタイルを身につけることを目的としてつくられた自立型言語学習施設。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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