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50th Anniversary -Interviews-
佐野公一先生、きく枝先生、そして隆治会長。佐野ファミリーは新しいこと、先端を行くことに非常に熱心です。他所と同じことをしない。思い切ってお金も使う。そして、自分たちで開発したものを隠そうとしない。隆治会長は、「うちは先端走ってればいいんだ。よそが真似すりゃ、うちはまた違うことをすればいい」と言います。5年もかけて実現した教育改革の内容だって、誰でも参加できる会議や講演会で発表しました。会場にはライバルの語学学校の教員や職員がたくさんいましたよ。
とにかく、常に一歩先のことに挑戦する。佐野会長は決して失敗を恐れずに、私たち教職員にも挑戦することを望みます。たとえ企画したように業務が達成できなくても、挑戦する姿勢で物事を考え、業務に取り組む思考を何よりも評価してくれるのです。その姿勢は今も変わっていないと思いますよ。
最近の例ではHELP(Hybrid English Learning Program)の開発です。学院には内気で、人前では自由に話せない学生もいる。その会話能力をどう上げるか? コンピュータのネットワーク上に仮想疑似空間を創り、実社会での場面設定でアバター(Avatar)との対話を通じて会話力を養っていくコンセプトが生まれました。独自のシステムが開発され、2010年にはカリキュラムに導入されました。失敗やコストを気にせず、一歩先の教育法を開発する環境があるから実現した授業です。
では、教員がやるべきは何でしょうか。それは、学生のモチベーションに火を点けることです。教員というのは、学生とともに学ぶ「コーラーナー(Co-Learner)」でもあると、学院の先生方には言っています。優秀な教員は説明がうまい。でも、真の教員は学生のやる気に火をつけられる。それでこそ、佐野学園で実践している、オートノマスラーナー(Autonomous Learner:自律学習者)を育てられるのです。
教員が大切にすべきは生徒とのコミュニケーションです。まずは名前を覚えること。僕が教員を始めた頃は1クラス50人で7クラス受け持てば、350人の生徒の名前を覚えなくちゃならない。それもゴールデンウィークまでにです。どうしても覚えられないときは、紙に名前と将来の夢、趣味などを書いてもらって、全員の顔写真を貼付けて覚えた。名前を覚えて、コミュニケーションをする。教員が学生たちに愛情を注いでいる自信があれば、時に強く怒ったりしても大丈夫だと思います。
今でも数十年前に卒業した学生から連絡を受けることがあります。「海外に住んでいて、また大学で学びたいから成績表を送ってほしい」と言われて、その学生を覚えていたから推薦状も書いて送ったら、返事が来て、「手紙を見て驚きました。水野先生だと思わず叫んでしまいました」と感謝してくれました。学校は決して無くしちゃいけないんです。学校って、ふるさとだと思いますよ。(14/15)